2016年11月18日金曜日

国内ポリオレフィン価格③ ポリオレフィン価格の問題点

国内ポリオレフィン価格については今回が最後です。ポリオレフィン価格の問題点をテーマにします。
「ざわつかせろ」キャンペーンはこれにて終了です。前掲載の①、②でざいわついてくれることを望みましたが、その効果はまだわかりません。

(ポリオレフィン復権)
その時に何のために石油化学簿管理者はざわつかせて闘うのか、ハッキリしました。
石油、石油化学業界でわかった事があります。
それは「メーカーや需要家のために闘う人間は強い」と言うことです。
業界の皆さん、絶対に乗り越えましょう。今、この時を。
絶対に勝ち抜きましょう、この時を。
今、この時を乗り越えた向こう側には、強くなった需要家皆様、ポリオレフィンメーカー、ポリオレフィン業界の明るい未来が待っているはずです。
絶対に見せましょう、ポリオレフィンに携わったことのある人の底力を!


ささげるのは十分だ。
決意を示し、変えていくのは我々だ。
今こそ、見返してやる。


ポリオレフィン価格の問題点

ここ数年はナフサ価格の軟調な動きに価格交渉は値下げ中心となりました。ポリオレフィンメーカーにとっては、ナフサ価格の下落度合いに関係なく、下落幅を調整。ナフサ価格の大幅下落時には交渉して妥結したポリオレフィン価格と国産ナフサ価格の変動に乖離があったことでポリオレフィンメーカー自体の収益回復を狙った動きが色濃く表れました。ポリオレフィンメーカーは数年に一度となる収益改善が実施されました。過去の交渉経緯と海外スポット市況高に助けられました。これ本当にラッキー。
では、それまではどうであったのでしょう。ポリオレフィンメーカーはナフサ価格の上昇に伴うコストの増加をタイムリー転嫁できないという状況が続いていました。タイムリーな価格改定の打ち出しがポリオレフィンメーカーから行われていないことです。コスト上昇分を十分に販売先に転嫁させるために、よりタイムリーな価格情報を含めての伝達が必要です。ポリオレフィンメーカーからの正式な値上げ打ち出しがある前に、需要家はある程度の情報を掴んでいます。実際に交渉を開始するのは正式な内容が公表された後になるため、時間のロスが生じています。ポリオレフィンメーカーが価格改定を打ち出すまでには、社内の手順を踏むためにかなりの時間を費やしてしまいます。。タイムリーな価格改定打ち出しが行われていないことが、短期間での価格交渉を要求し、場合によってはマーケット動向と反する内容を公表することにもなります。結果として収益を悪化させるということに繋がったということもあります。
国産ナフサ価格の見込みを基に打ち出された価格改定は、公表後にナフサスポット価格の下落もあり、見込んでいた国産ナフサ価格水準に達しなかったことから値上げ実施が大きく遅れた、または値上げ実施をしないということが幾度かありました。いくらかでもコスト上昇分を転嫁しなければいけない状況に大きな壁が立ちはだかり、結果として小額なコスト上昇分の価格転嫁ができず、安値是正の展開を築き上げてしまった。これには国産ナフサ価格が5000円/KL以上の上昇(つまりポリオレフィン10円/kg以上)がないと値上げの打ち出しを行わない(公表しない)という問題点に繋がることが言えます。需要家側の業界によっては、10円/kg毎の変動でないと価格交渉が進展しないというのは事実です。少々強引な考えではあるが、タイムリーではない価格改定打ち出しにより価格改定が遅れるのであれば、今までのセオリーにない小額での価格改定打ち出しを行い、2円でも3円でもコスト上昇分をしっかりと転嫁していくことを考えてよいのではないでしょうか。
それより、もっとポリオレフィンメーカー、需要家双方に良い方法はないのでしょうか。

国内石油会社から購入するナフサの価格体系を変えるぐらいの気持ちが無ければ、ポリオレフィンの業界の未来はない! 

数年前からではあるが、期ズレなしでの国産ナフサ価格連動フォーミュラで価格決定する取引が、一部のポリオレフィンメーカーにて進められました。これはポリオレフィンメーカーが価格の変動リスクに晒されていることから、それを最大限に軽減させる理に適った値決めでした。このような形の値決めが定着し、他のメーカーにも拡大していくとも思われましたが、その気配さえ感じられません。その当時は収益の改善が必要な状況において、安い輸入品と張り合ったりしている場合ではなかったはずです。期ズレなしの値決めにおいは、100%国産ナフサ価格に連動するフォーミュラで決定するものと交渉により国産ナフサ価格の変動を抑えて決定するものとに分けられているのが現状です。100%ナフサ価格連動のフォーミュラではポリオレフィンを原料として購入する製造業においては、原料コストが大きく振れる可能性があることからこれを嫌う企業もあります。一方で、原料コストの変動が正確に反映されるためにこれを好む企業もあります。長期に亘る値上げ交渉、値下げ交渉を経験できた今、ポリオレフィンメーカーだけでなく、原料を購入する側にも見込まれるリスクを再確認し、時代の流れに沿った原料仕入れ、製品販売の価格体系を見直す時期が到来していることを認識する必要があるかも知れません。

そのうちに良い解決策を提案します。
見せます石油化学記録簿の底力を。

2016年11月16日水曜日

国内ポリオレフィン価格② 2017年度に向けて

厄介な値下げ(2014年4Q-2016年4Q)

2014年後半では為替相場は円安に振れたものの、ナフサ価格の下落が大きく、大幅値下げへの幕開けが2014年10月から始まると思われました。実際はナフサ価格の大幅下落に従来の価格交渉とは異なる展開となり、ポリオレフィンマーカーは4Q内で小刻みに価格改定を数回実施しました。その水準も2014年10-12月の3ヶ月分の平均をみると実態とはかけ離れたものに。過去の交渉経緯などの理由はあるものの、2015年1月からのポリオレフィン価格も実態と大きくかけ離れて進んでいくこととなりました。リーマンショック時とまではいきませんが、それを彷彿させる値下げを需要家は見通しました。その実態との乖離する状況は現在まで続いています。

その内容は: 単位:円/KL


ここからは2017年の動きの一部を想定しています。

【2017年1月4日 場所:需要家 新年の意気込み】
(需要家)
正月ボケで職場復帰、現場復帰もなかなかすすまないよなぁ。
仕事が始まっても正月ボケが残ってます。2017年度の予算も間もなく、大詰め迎えます。原油、ナフサ、為替相場の動向も大きな変化もないから何とかなりそうだと勝手に安心しています。しかし、不透明感が増す世界経済を見据えて、情報収集には力を入れていこう。仕入れ先の原料メーカーには念のため2017年のナフサ価格見通しを確認しておこう。恒例のメーカー様の挨拶回りももうすぐだ。取り敢えず、気持ちを引き締めよう。

【2017年1月上旬 場所:需要家 年始の挨拶のやりとり】
(メーカー)
昨年中はいろいろとお世話になり心よりお礼申し上げます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

意訳≒ 昨年は無理を言って、頑なに値下げを拒み、儲けさせていただきました。お礼申し上げます。しばらくは昨年の流れを引き継ぎたいと思いますので宜しくお願いいたします。

(需要家) 
こちらこそお世話になりました。今年は厳しい年になりそうです。本年もよろしくお願いいたします。
どうですか、今年相場は?

意訳≒ お世話したよね。誰のお蔭で儲けてんの。今年も厳しいスタートだよ。挨拶来るならお年玉よこせ。販売協力金でもよこしなさいよ。安くなれなれ、輸入品。輸入品増やしちゃうぞ。早く来い来い値上げ話。値上げなんて受け入れないぞ。でも製品の販売先には値上げしちゃうけどね。プラントトラブルがないように祈ってます。本年は立場が逆転することを見込んでいるので宜しくお願いします。取り敢えず、聞いてみるか、今年相場は?

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上記に悪意はありません。単なる想定ですので、雰囲気を味わってください。

予算策定のために当ブログでは

2016年12月7日
2017年1月11日
2017年2月8日
2017年3月8日
に従来掲載している原油価格、国産ナフサ価格見通しを更新します。

明日は国内ポリオレフィン価格③ ポリオレフィン価格の問題点を掲載予定。



国内ポリオレフィン価格① 次回の価格改定予想

国内ポリオレフィン取引価格の決め方には、①ナフサ価格、ポリオレフィン需給などを反映させる月決め、②国産ナフサ価格の変動を100%反映させる四半期毎の値決め(期ズレ0~4ヶ月)、③ポリオレフィンメーカーの国産ナフサ価格の見込みを基に交渉し、概ね四半期毎の値決め(期ズレ0ヶ月)などが存在します。

昨今の注目されている取り決めは③のパターン。値上げのときは、ポリオレフィンメーカーから事前に値上げの打ち出しにより価格交渉が始まります。一方で、値下げのときはポリオレフィンメーカーからの打ち出しはなく、需要家側からの値下げ要求で交渉が始まります。国内外の市況、需給などの情報量はポリオレフィンメーカーが圧倒的に多いのが現状であり、需要家にとっては価格改定幅が実態と乖離することも過去に経験したのではないでしょうか。また、値下げの時は需要家にとって、タイムリーな値下げ実施の機会を逸したこともあったのではないでしょうか。ただ、ポリオレフィンメーカーも同様な理由ではないですが、値上げ時においては、値上げ実施が希望通りにならないこともあり、ナフサ価格の変動が大きい場合は交渉が進まず、売り手買い手双方ともにストレスが溜まる状況に陥ってきました。

最近、価格改定(値上げ)も見られなくなりましたが、来年後半には値上げ打ち出しがあるかもしれません。
以下あくまでも予想と勝手な解釈ですので、雰囲気を味わうだけに留めてください。

【次回の価格改定打ち出し(値上げ)予想:メーカーの内容】
価格改定幅: 10円/kg以上 
理由:    
201X年第?四半期の国産ナフサ価格は40,000円/KLを超える水準となることが見込 まれます。 
厳しい経済環境の下、生産の効率化、投資の抑制や徹底したコスト削減に継続的に努めてまいりましたが、原燃料の変動によるコスト上昇分は自助努力のみで吸収することは困難であり、価格改定をお願いせざるを得ないとの結論に至りました。


【上記の意訳】*あくまでも個人的な想定です。
価格改定幅: 取り敢えず、10円/kg以上、状況によっては分割でも。
       もしかしたらマーケット次第では取り下げることもあります。
理由
取り敢えず、ここ数年は儲けさせてもらいました。いつかは値上げのタイミングが来るとは予想していました。まだ、201X年第?四半期の国産ナフサ価格は40,000円を超えるか分からないけど、足元だけを見れば、その水準を超える可能性はあります。実際の価格改定の打ち出しを行うときの国産ナフサ価格の見込みが40,000円を超える勢いがないかもしれませんが、タイムリーに打ち出せないのは会社の事情です。ご勘弁ください。ただ、40,000円を超える、超えそうな、超えるかもしれないということが感じられたのは事実です。自分たちの適正な利幅の話はできませんが、コストが上昇していることは事実です。だから10円/kg以上の値上げを打ち出します。需給の引き締まりが続いていることから状況によっては、強引な値上げになるかも知れませんし、ではなく、月毎に少しずつ値上げさせてもらうかも知れません。ここ数年値下げ幅を抑え、儲けさせてもらい会社全体で喜び合えたの久しぶりです。親会社からも褒められました。迷惑ばかりかけていましたので。また、需要家からの値下げ交渉に対し、強気に進めたのは確かです。毎月の交渉で小出しに値下げする流れができてしまい、いい仕事しているなぁと自分に浸ってしまったことも事実です。ポリオレフィンの明るい未来を創るためにと思って…。申し訳ありません。勿論、コスト削減は常にして来ましたよ。自助努力もしたので、還元すべきところはあったかもしれません。毎回毎回同じような理由を述べて値上げをするのも忍びないと感じています。こんなに儲けさせてもらったのは未だかつてなかったのです。転換期が来たのかもしれません。この業界はある時期まで良かったが、昔はいろいろ問題がありました。その後は厳しい状況に追い込まれ、メーカーは減り、事業規模縮小となったり・・・。最近は運も重なり、いい夢を見させてもらいました。しっぺ返しが来るかもしれない状況をわかっています。どうぞお手柔らかにお願いします。


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ちょっと書きすぎました。

/// お見せします石油化学記録簿の底力を /// 3.23

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