国産ナフサ価格は様々な石油化学製品の価格決定の指標となっている。年々増え続けているフォーミュラ形式や、変動幅を抑えるべく行われる価格交渉にも、国産ナフサ価格は国内の多くの取引において使用されている。
国産ナフサ価格の算出方法について
財務省のナフサ貿易統計値(輸入統計)を基に、3ヶ月の輸入金額の合計を輸入数量の合計で割り返して算出(加重平均)する。この輸入単価(CIF
JAPAN、円/KL)に2000円/KLを加算し、十の位を四捨五入したものが国産ナフサ価格となる。財務省貿易統計値は、当該月の翌月末に速報値、翌々月末に確報値、年度最終月中旬に確定値として発表される。国産ナフサ価格は各四半期の貿易統計値が一番早く出揃う日、つまり第3月の速報値の公表日に決定する。計算に使用する貿易統計値は、第1月が確報値、第2月が確報値、第3月が速報値となる。
国産ナフサ価格を計算するにあたり、3ヶ月分の輸入統計値を
確報値・確報値・速報値で使用するのが一般的であり、ポリオレフィンが該当するが、原料であるオレフィンの取引において輸入統計値は全て確報値を使用する。よってオレフィン取引に使用する国産ナフサ価格は第3月の確報値の公表日となるため、1ヶ月遅く判明する。
財務省貿易統計公表予定日
財務省は2月5日、同ホームページで掲載する貿易統計の公表予定を、2016年4月分~2017年3月分に更新した。これにより輸入9桁速報および前月分輸入確報、輸出確報の公表予定日が明らかになっている。2016年の国産ナフサ価格の構成要素となる各月の輸入統計の公表日は以下の表の通りとなる。
国産ナフサ価格
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財務省貿易統計値
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財務省貿易統計公表日
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国産ナフサ価格
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構成要素
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輸入数量
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輸入金額
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KL
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円
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速報値
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確報値
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確定値
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2016年
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1月輸入統計
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A
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B
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2月26日
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3月30日
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2017年 3月中旬
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1Q
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2月輸入統計
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C
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D
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3月30日
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4月27日
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2017年
3月中旬
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3月輸入統計
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E
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F
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4月27日
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5月27日
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2017年 3月中旬
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4月輸入統計
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A
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B
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5月27日
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6月29日
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2017年 3月中旬
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2Q
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5月輸入統計
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C
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D
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6月29日
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7月28日
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2017年 3月中旬
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6月輸入統計
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E
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F
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7月28日
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8月30日
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2017年 3月中旬
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7月輸入統計
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A
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B
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8月30日
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9月29日
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2017年 3月中旬
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3Q
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8月輸入統計
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C
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D
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9月29日
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10月28日
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2017年 3月中旬
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9月輸入統計
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E
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F
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10月28日
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11月29日
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2017年 3月中旬
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10月輸入統計
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A
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B
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11月29日
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12月27日
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2017年 3月中旬
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4Q
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11月輸入統計
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C
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D
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12月27日
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1月30日
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2017年 3月中旬
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12月輸入統計
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E
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F
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1月30日
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-
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2017年 3月中旬
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2017年
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1月輸入統計
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A
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B
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2月24日
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3月30日
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2017年 3月中旬
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1Q
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2月輸入統計
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C
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D
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3月30日
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4月27日
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2017年 3月中旬
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3月輸入統計
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E
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F
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4月27日
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5月末*
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2017年 3月中旬
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国産ナフサ価格計算式
国産ナフサ価格 = 輸入金額合計(B + D + F) / 輸入数量合計(A
+ C + E) + 2000円/KL
*十の位を四捨五入
普通貿易統計(確定)
普通貿易統計(確定)は、2015年分〔1月-12月〕の確定値が2016年3月11日に公表された。
貿易統計は、速報、確報、確定の順に発表される。 速報(輸入9桁速報)は 毎月の定例的な訂正作業の最終締切日で作成したものとなる。確報(輸入確報)は 輸入の簡易申告制度の導入に対応するため、輸入について確報を1ヶ月遅らせることとしており、公表が、翌々月末頃となる。12月分については、確定の発表が直ぐにあるため、確報発表を行っていない。 確定は、 定例的な訂正作業を終了した後に訂正箇所が新たに発見された場合、統計数値をそのたびに訂正することはせず、翌年に一括して訂正を行い、確定とする。「確定」を発表して以降は、訂正箇所が新たに発見されても、統計数値を変更しない。
ポリオレフィンなどを中心とする石化製品の取引において一般的に使用されている確報値・確報値・速報値ベースの国産ナフサ価格と、オレフィン取引における確報値・確報値・確報値ベースの国産ナフサ価格において、2000年以降の両方の国産ナフサ価格に差が生じたことはない。しかし、2008年の国産ナフサ価格に新たな計算方法が適用されることになった。使用されていなかった年度末に公表される確定値を使用しての計算である。2007年までは、ポリオレフィンを含めた石化製品を取引する関係者の多くは、年度末に公表される確定値の存在さえ知らなかったが、2008年の国産ナフサ価格連動の取引において、事後の価格調整を見ることとなった。2009年3月中旬に公表された2008年1月~12月の確定値をもとに国産ナフサ価格を計算すると、一般的な国産ナフサ価格(確報値・確報値・速報値)と差が生じていることが判明した。2008年1Qの国産ナフサ価格は従来のものより100円安の66600円、4Qが200円安の52000円となり、ポリオレフィンに関連する取引を含む一部の石化製品取引おいてに年度末おける価格調整が行われた。国産ナフサ価格(確報値・確報値・速報値)と年度末に公表される確定値をもとにした国産ナフサ価格が異なったのはこの他に4件あり、2010年3Q(確定値基準が100円安)、2011年1Q(確定値基準が100円高)、2012年2Q(確定値基準が100円安)、2013年3Q(確定値基準が100円高)となった。
国産ナフサ価格 = 輸入金額合計(B + D + F) / 輸入数量合計(A + C + E) + 2000円/KL
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